「クジラを捕って、考えた」を読んで考えた
○産経新聞−調査捕鯨船団が下関出港 最大440頭捕獲
○「クジラを捕って、考えた」川端裕人
○(財)日本鯨類研究所
今日の京都新聞夕刊で、「調査捕鯨船団が南極海向け出港 下関」という記事を見た。ちょうど先日まで徳間文庫「クジラを捕って、考えた」川端裕人を読んでいたため、ふとそのことが頭をよぎった。
92年11月から筆者が、今回も調査母船となっている日新丸に乗り込み、クジラと捕鯨を目の当たりにし、捕鯨をめぐる問題を捕鯨賛成、反対とどちらかに偏ることなく、彼独特のタッチで問題を、人間模様を、そして自身の思考を掘り下げていく。
本に書かれている内容も、また最初に単行本として刊行されてからも約10年経過しており、文庫化にあたって現況を補足するあとがきが今年9月の日付で載っているが、それと新聞記事を足しても、「いまどうなのか」という疑問にはこたえてくれない。
感情的にはどうしても「クジラを捕るなんて」と思ってしまう自分は彼のいう「都市生活者」そのものの典型なのだろう。ただその感情だけを以て短絡的に「捕鯨反対」と叫ぶ気にもならないのは、行き過ぎた行動が目に余ることもある“環境保護”活動に対して未だに距離感も感じるし、いずれかの立場に身を置くだけのデータが手元になく、すんなりと判断できないからだ。もちろん「クジラを捕って…」がそういった考えに大きな示唆を与えてくれた事も事実。
新聞などメディアはもっと取り扱ってくれないものだろうか。やはり「(どちらかの立場に)迎合している」などという批判を免れたいのだろうか。二元論で語り出すとちょっとした反論、異論でも“敵意”として認識してしまうのは悲しいことだ。
引用:Sankei Web
調査捕鯨船団が下関出港 最大440頭捕獲
南極海での調査捕鯨のため、日本鯨類研究所(東京、畑中寛理事長)の船団が12日午前、かつて捕鯨基地として栄えた山口県下関市の下関港から出発した。
最大440頭のミンククジラを捕獲するほか、頭数や分布のデータを収集し、国際捕鯨委員会(IWC)の科学小委員会に報告する。来年4月に帰港する予定。
船団は、調査母船の日新丸(7、659トン)や目視採集船など5隻で、乗組員は計約200人。
南極海での調査捕鯨は1987年に始まり、18回目。当初予定の調査は今回で終了する。
環境保護団体などからは「科学の名を借りた商業捕鯨だ」との批判もあるが、日本政府は7月のIWC年次会合で調査捕鯨継続を表明しており、水産庁は「新計画を策定中」としている。
出港式典で、調査団長の西脇茂利・同研究所調査部長が「新たな捕獲調査にたすきを渡せるよう元気に頑張ってきます」とあいさつ。船団は、団員の家族や地元小学生らが手を振る中、汽笛を鳴らして出港した。
(11/12 12:26)