大阪府知事選
今はまだ「対岸の火事」の大阪府知事選、結果は予想通りの「タレント知事誕生」でした。
当選後の橋下氏出演の民放特番で「タレント候補はノックで懲りてへんのか。腹立たしい」みたいなコメントをした市井のオッチャンがいたが、むしろ“ノック後”つまり太田府政でも「なんも変わらへんのや」と悟ってしまったに違いない。
むしろ時流は「東国原」ブーム。タレント知事の本家を自認する府民には対抗意識というか、そろばん勘定が働いたことは想像に難くない。
また民主は独自候補を立てて参院選の勢いを駆ってさらなる躍進をはかったが、所詮は「阪大学長の弟」で「政財界に顔が利く」ような“ようわからん人”(失礼かも知れないが、ほっそりして政治家としてパッとしない風貌も影響したのかも)を担ぎ出したまで。ゆっていることも有権者の心にとどかない「基盤整備」ばかり。肝心の党内でガソリン暫定税制やら長期滞在外国人への参政権付与などで内部分裂の醜態を見せてしまっては、無党派層もついては来まい。
告示当初は橋下氏の選挙活動の出遅れもあり「熊谷氏有利か」などと言われていたが、以上の要因を見ていれば結果は火を見るよりも明らかだった。(ほんま共産はこういうところで張り合えないなぁ)
だが橋下氏に「与党」が後ろ盾について当選“させた”のも事実。無党派層の支持だけではきっと無理だったろう。
一方をたてれば他方が怒り、他方をたてればまた別の一方が泣く、それが政治。パッと見でよさそうな話でも痛みを伴うと分かれば手のひらを返したように府民は騒ぎ出しかねない。そんな中でも街頭で約束してきた公約をうまく実現できるのだろうか。
<参考>
橋下氏のサイトより「公約」を転載。
より詳細は公式サイトで確認できます(2008.01/28現在)。
橋下とおる基本政策
『おおさか』を元気にするプラン
〜人と笑顔に投資する大阪府をめざして〜
17の重点事業
1「(仮称)出産・子育てアドバイザー制度」を創設します。
退職・休職の助産師・看護師・保健師に地域に密着した出産・子育てのアドバイザーとして活躍してもらいます。【事業費4億円】
2小児科・産科の救急受け入れを促進します。
安心して出産・子育てができる環境をつくるため、小児科・産科の救急受け入れ時の報奨金制度を設け、病医院で働く人たちに報います。【事業費7億円】
3妊婦一般健康診査の受診回数を拡大します。
安心して妊娠・出産にのぞめるよう、妊娠中に1回無料で受診できる妊婦健康診査を、所得制限は設けますが段階的に5回まで拡大していきます。【初年度事業費10億円】
4乳幼児医療費助成を拡充します。
0歳~就学前の乳幼児の入院・通院にかかる医療費の一部を助成する制度を、所得制限は設けますが段階的に拡充していきます。【初年度事業費12億円】
5不妊治療費補助を拡充します。
高額な費用のかかる不妊治療を援助するため、現行制度10万円×2回(所得制限年収730万円未満)から30万円×2回に拡充します。【事業費8億円の増額】
6駅前・駅中に保育施設の整備を促進します。
働きながらでも安心して子育てが行えるよう、駅前や駅中に民間の保育施設を誘導するため、家賃補助制度を創設します。急行停車駅を中心に100か所の設置をめざします。【事業費3億円】
7子どものいる若い夫婦への家賃補助制度を創設します。
商店街周辺などに暮らす若い夫婦に子どもが生まれるたびに3年間の直接家賃補助を行う制度を創設します。2000世帯の補助をめざします。【事業費5億円】
8障がい者や高齢者への公共公益活動を支援します。
障がい者の自立支援や高齢者の介護など採算性の低い公共公益活動を行う福祉ボランティア団体・NPOを支援する補助制度を創設します。【事業費3億円】
9大阪府内の公立小学校などの運動場を芝生化します。
大阪府内の公立小学校を中心に運動場を芝生化するための補助制度を創設します。年間100校の整備をめざし、PTAやNPOなど地域が芝生の管理を行う場合は大阪府の補助率をアップします。【事業費18億円】
10大阪府内の全公立中学校に給食の導入を促進します。
大阪府内の全公立中学校において小学校の給食費と同程度で給食を実施することができる補助制度を創設します。小学校給食施設の活用や民間事業者の活用など市町村の事情に応じた方式を選択できるようにします。【事業費24億円】
11安全な地域づくりをめざして防犯カメラの設置を支援します。
花や緑あふれる街での安全で安心な府民の暮らしを守るため、防犯カメラの設置を希望する地域を積極的に支援します。【事業費2億円】
12大阪府内で冬季イルミネーション・イベントを実施します。
大阪府内で冬季イルミネーションにふさわしい場所を市町村から名乗りを上げてもらい、ふさわしい場所であればイベント開催を支援します。【事業費3億円】
13「石畳と淡い街灯」の街をつくります。
重要な観光資源となりうる「石畳と淡い街灯」などをコンセプトにした景観づくりを進めます。モデル地区を定め住民と行政が一体となってまちづくりに取り組みます。【事業費10億円】
14中小企業活性化のため大規模コンベンションを開催します。
中小企業振興のため、大阪の中小企業を紹介するコンベンションを、大阪をはじめ全国主要都市で開きます。得意先開拓や技術力のアピール、産学連携の促進などに力を注ぎます。【事業費3億円】
15大阪の活力アップのため知事による積極的なセールスを展開します。
知事自身が大阪府内の中小企業の高い技術力を内外にアピールし、その活性化のために積極的なトップ・セールスを行います。また、大阪の活力アップにつながるようパブリシティを意識して、宣伝効果の高い「おおさかを笑顔にする」営業活動を行います。【事業費ゼロ】
16セーフティネットを除き大阪府が出資する法人を抜本的に改革します。
福祉・教育・中小企業支援融資などのセーフティネットに関わるものを除き、大阪府の出資法人に対する補助金・委託料・貸付金などをゼロ・ベースで徹底的に見直します。【目標効果額100億円】
17府立施設や府の事業で必要性のないものは民営化・売却を促進します。
府が保有する公共施設は年間25億円もの赤字を生み出しています。これらは存続を前提とせずに、第三者も含めた評価を実施することで民間活力導入がふさわしいもの、市町村と重複するものなどは積極的に民営化もしくは売却していきます。【目標効果額50億円】
*事業費はいずれも年間経費で、国庫補助金等の特定財源を含み、職員人件費や受益者負担分等を除いています。
大阪府の投資会社化
〜人に、まちに、未来に投資します〜
『おおさか』を笑顔にするプランは、橋下とおるが掲げる4目標18政策42施策17重点事業をまとめたものです。平成23(2011)年度までの実現をめざします。
就任早々に事業凍結宣言。公約に掲げた子育て支援なども初年度は凍結。この「手のひらのかえしよう」にはビックリした。まさに舌の根も乾かぬうちに…。
財政事情が抜き差しならぬところまで来ているのは誰の目にも明らか。もちろん「在任中に」公約通り実施して、一定の効果をあげてくれるならば約束に違うことはなかろう。
だが一縷の期待を胸に彼に投票をした人たちはガッカリしているのではないだろうか。