読後感想:風が強く吹いている

風が強く吹いている

風が強く吹いている
三浦 しをん (著)
価格:¥ 1,890(税込)

連れ合いのQが図書館から借りて来た本、先日の休みに布団の上に置いてあるのを見つけ、手に取ったが最後、一気に読了。
まず表紙に惹きつけられる。大きな文字のタイトル、そして何人かのマラソン風キャラクターが描かれている。各選手の横に一言台詞があり、なかなかユニークだ。本をひっくり返しても同じような感じ。ここでどうやら駅伝では?と思う。いや遅いだろう、なぜならそれぞれの脇に「10区 ハイジ」などとかかれているからだ。イラストがどこか絵巻物調で眺めているだけでも楽しい。

中を開く。
すぐに作中に入り込める。ミステリーでよくある、しばらくチンプンカンプンのままなんとかページを捲るということなく、スイスイ進む。勿論始めは少し謎めかしているが苦にならない。
話の骨子はかなりかいつまめば、ほとんど素人で集められた即席駅伝チームが箱根駅伝で活躍するという一見スポ魂小説だ。その実はやはりスポ魂かもしれないが、ところどころで笑わされ、時々ホロリとさせられる、読んでいるのにいつの間にか目の前で展開されるストーリーに感情移入し一喜一憂させられている自分に気づかされる。
おもしろかった。箱根駅伝は正月にやっているな程度の認識で特に関心が高い訳ではない。にもかかわらず主人公達一人ひとりの走る姿に感動が湧き起こる。

単行本で500ページを超すそれなりのボリュームがある本、けれども気づけばあっという間で凡そ5時間程度で読み終わってしまったのが勿体無い気がした。

三浦しをん「風が強く吹いている」新潮社 2006.9

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